ぼくには妹がいます。

私、みずりてぃには妹がいます。

 

 

 

 

今朝も陽気なことは間違いないがそれでいておしとやかな透き通る声で

「お兄さん、早く起きてください。すぐに起きないと学校に遅刻しちゃいますよ!

ま、また起きないふりをして私がチューしてあげるのを待ってるんですか…?

今日という今日はそんなことしてあげませんからね。でも今から私が10秒数えてる間に起きてくれたなら…、その……、してあげてもいいですけど……。」

なんて甘い言葉で目覚まし。

 

当然ぼくは1秒も待たないで頭を上げる。

 

その瞬間ぼくの頭は強烈に強い衝撃に襲われる。

 

ぼくの妹が僕の顔のすぐ正面で今にも唇が触れそうな位置で待ち構えていたのだ。

まずそんなことをしたら妹とぼくの額と額が思い切り当たってしまった。

 

「もぉ~、痛いなぁ~。お兄さんってば、起きてるじゃないですか!!」

 

あまりにも期待通りな反応を顔を赤らめながら当たり前のようにやってくれる。

 

部屋は朝食の目玉焼きとトースト、それから淹れたてのコーヒーの香りでぼくの目覚めを歓迎してくれる。

 

「お兄さんが早く起きてくれないとせっかく作った朝ごはんも冷めちゃいます。それに一緒に食べたいじゃないですか。」

 

あ、べっ、別に一緒に食べたいとかそういうんじゃないですけど、とわたわた手振りをしながら誤魔化してくれるがそれもまたかわいい仕草だ。

 

ついうっかり僕の口から「かわいいな」なんて甘ったるい言葉がうっかり声に出てた。

 

そんなセリフを聞いてもっと照れてくれても良いとは思ったが、いつもそう言うじゃないですか、とつぶやいてぼくから目線を外して少しは抱いている恥ずかしい感情を隠す様子もかわいい。

 

さあそろそろ布団から抜け出してわざわざぼくの為に作ってくれた妹の手料理を食べに行かないともったいない。

 

この時期まだ温まったお布団から脱出するのも億劫ではあるが妹の真心こもった朝ごはんには何も代えられないよ。

 

重い腰を上げて急いで食卓を囲みに行ってご馳走になる。

 

毎朝食べていると段々と気付かなくなってくるものだけどこれほどありがたいことはない。もし妹が居なかったらと思うと、寝起きの悪くなりがちなぼくはコンビニで適当に安く済ましてしまうか最悪なにも食べられずに学校に行かなきゃいけないし。

 

 何事もなく平らげると妹と同じタイミングでごちそうさまと自然に同調している。

やっぱり周波数が完全に合ってるんだなって思う。

 

ぼくはそれから時計を見て急ピッチで身支度を整えて玄関から行ってきますという。

 

「お兄さん、ネクタイが曲がっていますよ。それと、今日は雨が降るって予報で言ってました。傘も忘れないようにしてくださいね。あ、あと、その…、チューする約束もできてなかったので…、今…とか。」

 

 

 

 

 

いつもこんな感じです。

 

妹は可愛いです。妹が居てよかった。

 

 

たまにこういう話をすると周りのヒトが君には妹は居ないとか、妹が居たら妹物は嫌いになりがちとか、君はみずり亭の座敷わらしを妹だと思いこんでる精神異常者だとか文句を言ってきます。嫉妬するのは分かりますが流石に困ります。

 

ばいちゃ。